祝☆北村薫先生、直木賞受賞!

もう、不定期更新どころの騒ぎではないのですが(汗)
大変申し訳ありません…。
書きたいことはたくさんあれど、体が追いつかないという状況。
皆さまもお体は大切になさって下さいませ。
と申しましても、眼精疲労(とドライアイ)が主な原因ですので
大事ではございません。
良くなりましたら、またいろいろ更新したいと存じます。

さて、とはいえこのことだけはどうしても!
書いておかずにはいられない。
北村薫先生、直木賞受賞おめでとうございます♪
初めて候補になったのが2005年の「スキップ」ですから
実に13年半かかって、ようやく実現したわけです。
北村先生はデビューから20年のベテランでいらっしゃり、
既に山本周五郎賞の審査員もされているような方ですから
正直、何度も候補になりながら、惜しくも受賞とならず
「北村先生の場合は直木賞には合わないんだ。
でも、それは先生の作品が劣っているからではなく
温かな視点を持った作風が、時代にそぐわないだけなのだ」
と、ファンとしては複雑ながらも感じてきたものです。
実際、人の暗部や時代の闇のようなものを描いた作品が
受賞作になることが多いように思う直木賞。
登場人物が優等生的で、どこか優しい北村作品は
インパクトに欠けると言われてしまえば、その通り。
しかし、ファンからすればそれが魅力であるのだから
「甘い」の「弱い」の言われて落とされる姿を見るのは
本当に本当につらかったのです。
個人的には、「時と人」三部作が一番好きで、
直木賞候補にあがった作品では「ひとがた流し」で
絶対受賞できるはず、と思っていた私としては
今までだって素晴らしい作品がたくさんあるよ!と
声を大にして言いたいです。
いや、もちろん「鷺と雪」も素晴らしいのですけれども。
同じベッキーさんシリーズで、「玻璃の天」が受賞できず
「鷺と雪」ならOKだったのはなぜ?と思うのですが
結局、総合力での評価も大きかったのでしょうか。
あとは選考委員のメンバーというのも関係あるかも。
浅田次郎氏、宮部みゆき氏、北方謙三氏あたりは
北村作品に好意的と思われますから。
まだ選評が発表されていませんから、憶測の域ですがね。

リンク: 遅すぎた?北村薫氏の直木賞 - ココログニュース
こんな記事も見つけてしまいました(笑)
そう、遅いんです!
どちらかといえば選考委員の方に
名前をつらねていてしかるべきですよ。
なので、今回候補になっているのは知っていたものの
「どうせまた取らせてもらえないんでしょ」とやさぐれ気味で
結果も積極的に知ろうとしていなかったのですが、
ネットニュースで「直木賞は北村薫」というのが
目に飛び込んで来た時には、やはり嬉しかったのです。
ここまでの道のりで、いろいろ言いたいことはありますが
(東野圭吾さんや宮部みゆきさんの時も似た思いでした)
でも、北村先生はこの過程すら、必要なものであった、
と捉えていらっしゃるように思います。
またそういう北村先生であるからこそ、
作品があのように温かく深みがあるのだと感じます。
受賞をきっかけに、一度も読んだことがない方が
北村先生の作品を手に取ってくれること、
そして北村作品の美しい日本語に触れてくれること、
それが心から嬉しいのです。
北村先生の作品は、背筋がすっと伸びるような、
凛とした生き方をしよう、と思えるような
爽やかな読後感があります。

しかし、芥川賞と直木賞の区別が良く分かりません。
芥川→純文学、直木→大衆小説 とのことですが
「鷺と雪」なんてテーマは純文学っぽいのに。
短編ミステリーだからなのでしょうかねえ。
そういえば、横山秀夫さんの直木賞訣別や
伊坂幸太郎さんの直木賞候補辞退といったことが
過去にあって、直木賞も権威が落ちたかな…
などと思った時もありました。
ただ、やはり芥川賞や直木賞を受賞というのは
話題になりますし、賞に見合う質の高い作品、
という気はしますけれども。
東野圭吾さんは「白夜行」でとっていたら…
という話もありますが、私は「容疑者xの献身」が
より優れていると感じました。
それは人間を描いている、という点で。
角田光代さんの「対岸の彼女」も
本当に女性の描写や書き分けがすごいな、
と感じたのですよね。
北村先生のベッキーさんシリーズも
女学生・英子とベッキーさんという2人の女性の
描き分けが非常に秀逸だと思います。

長くなってしまいましたが、北村先生、
本当におめでとうございます!

さて、ブログ更新に伴いデザインを若干変更し、
ブログパーツを設置してみました。
私の性格を現した「サミシン」と
ミニプラネタリウム「Starlight mini」です。
性格占いはこちらからどうぞ。

角田光代「八日目の蝉」

今日は読書話です。
友人のオススメで角田光代「八日目の蝉」を読みました。
角田光代といえば、直木賞受賞作「対岸の彼女」はとても好きな作品。
女性心理を描かせたらピカイチ。
胸の奥底にしまってあるコンプレックスや傷を見せられているような気がして、
でも不思議と無理矢理引きずり出される感じではなく、
自然に登場人物に共感できます。きっと、どこか似ているからなのでしょうね。
切なくて心を揺さぶられます。

この、「八日目の蝉」はサスペンスという触れ込みでしたが、
あまりサスペンス色は感じませんでした。でも、ストーリー展開のスピード感がすごいです。
少しずつ読むつもりが、夜更かしして一気読み。
以下、ネタバレあり。ご注意下さい。










「八日目の蝉」
地上に出て七日で死んでしまう蝉。でも、もし八日目まで生き残った蝉がいたら…
他の蝉とは違う、悲しみや切なさを背負わなくてはいけない。
見なくていいものを見てしまうかもしれない。
でも、他の蝉が見られないものを見られるかもしれない。
そんな深いテーマに包まれた一冊でした。


希和子が「絶対にこの子は守る」という強い意志を持って、抱きかかえていく導入から、
引き込まれてしまって、ずっとドキドキしながら読み進めました。
私は今、母親という役割を持っています。
だから、希和子の誘拐は許せない犯罪であるはずなのに、逃避行をずっと応援して前半を読みました。
秋山夫妻が赤ちゃん置き去りにして出かけるような親だからかな。
絶対、赤ちゃんをひとり置いて外出はしちゃいけません!
希和子の方が母親らしく感じました。自分が子どもを持てなかった悲しみも伝わってきました。
だから、共感してしまうのかもしれません。
エンゼルさんの施設も含め、女性がたくさん登場するのですが、角田さんは女性の描写が本当に上手いです。
そして、エンゼルさんの設定もうまい。「がらんどう」の女たち。
心に空虚がある人は、こういう自己啓発的なカルト集団(宗教含む)にはまりやすいです。
エンジェルホームを出て、小豆島での静かで穏やかな暮らし。
このまま終わるはずがないのに、小さな幸せが壊れないよう祈りながらページをめくりました。
後半は19歳の恵理菜視点になって展開していきます。
彼女の痛み…本来の自分の家族とぎくしゃくし、他人から好奇の目で見られ、
そんなことになる原因を作った「あの女」を憎んでいる。
それなのに、「あの女」と同じ不倫をしている。
「あの女」に似ている気がして、ぞっとする。
自分が悪いわけではないのに、自分のせいであるような気がして、つらくなる。
まさに、親達の因果のとばっちりが恵理菜にいってしまった。彼女は何も悪くないのに…
恵理菜の苦しみがよく表現されていたと思います。
また、千草や真理菜の痛みも切なくて、じんじんしながら読みました。
惜しいのは、もう少し秋山夫妻の苦悩に踏み込んでいれば、さらに深みが増したように思います。
どうも、2人とも親であるのに、逃げているようにしか見えなくて。
特に母親の方は、自分が鍵もかけずに置き去りにした挙句に行方不明になったわけだから
自分を責めて責めて、苦しんでいると思うのですよね。
だから、戻ってきた恵理菜が島の言葉でしゃべったり、自分と心が通じなかったりすることに対しても
感情的になった後で、必ず深い後悔が襲ってくるのではないかと思うのです。
私は何となく感じるところはあったのですが、男性には伝わりにくいだろうなと思いました。
その辺りの「揺れ」がもう少し見えると良かったかな。
恵理菜がお腹の命に「きれいなものをたくさん、見せてあげる義務がある」と言ったところはぐっと来ました。
それで19歳のシングルマザーになる決意につながるのか?と言われれば、非現実的かもしれませんが、
赤ちゃんは自分自身ではなく、だから命を奪ってはいけない、という気付きとしてはアリだと思いました。
友人はラストは号泣だったそうですが、私は号泣はできなかったです。
じわっとくるセリフはたくさんあったのですが、号泣につながらなかったのは、
多分、希和子が薫(恵理菜)に気付かなかったからです。
母親なら、自分の子がどんなに変わってても判ると思うんだけど…
例え自分が産んでなくても、3年半一緒に暮らしたのだし。
別れて15年経っていたとしても、母親の勘で分かりそうなものです。
確信を持たなくていいから、希和子だけは「もしかして」と思って終わって欲しかったです、私としては。
あと、恵理菜父と岸田さん、2人の男性キャラが2人してダメンズ。ちょっとこれは不満。
恵理菜父はあれでもいいので(事件の原因を作ったともいえるキャラだし)、
岸田さんにはもう少し男を見せて欲しいです。
携帯の番号変えられたくらいで、縁切れるような想いなのか…と萎えました。
まあ、恵理菜が「面倒くさいことから逃げる人だから好きになった」とは言ってますけどね。
でも、全体的に本当によくまとまっていて、ラストは希和子と恵理菜、
2人のカタルシスもびんびん伝わりました。
希和子が逮捕される時に叫んでいた言葉が最後に分かりますが…
「その子はまだ朝食を食べていないの」
立派な母親じゃないですか(T-T)
ここは、本当にずっしり来ましたよ。恵理菜も思い出してくれて良かった。

母子手帳がないと子ども育てられないぞー、とか、なぜ不倫なのに避妊をしないんだ!
などの突っ込みどころはあるものの、物語の吸引力はすごかったです。
長くなりましたが、すごく良い話だったことは間違いないです。

東野圭吾「さまよう刃」を読んで

「何の罪もない愛娘が、蹂躙され殺されてしまった。
その事実を密告電話で知った父親は、犯人達に復讐を誓う。
1人を殺害、逃亡し、2人目を探し回る父親。
警察、マスコミ、一般人。父親の行動を肯定することはできないが、否定もできない…。
この復讐劇の結末は!?」

《著者からのコメント》
他人事ではない
明日にでも、この物語の『誰か』に
なるかもしれない
その時あなたの『刃』は
どこに向けられるだろう?      東野圭吾


…衝撃でしたね。
テーマとしてはよくある「レイプ殺人」「少年法」「仇討ち」といった内容ですし、
淡々と書かれた文章に違和感を覚える方もいらっしゃると思います。
(東野圭吾は「白夜行」でもそうですが、登場人物の心象表現を極力削った切り口で
文章を書き綴る傾向があると思うので、クセはありますね。)
じゃあ、どこが衝撃だったのか、というと、何も落ち度がない15歳の少女が、凄惨な目にあった上殺され、
その犯人は、罪の意識どころか「困った」くらいにしか思っていない…。
しかも、犯人は少年であるがゆえに、法では守られてしまう。
その不条理を痛感するとともに、復讐を決意する父親の思いが痛いほど分かってしまうところ。
私もこれから人の親になろうとしているわけですが、もし自分の子がそんな目に遭ったら…。
復讐は良くないことです。死刑に対しても、賛否両論あります。
しかし、私は「悪い事をした」ことを、悔いることができない人も世の中にはいるし、
そういう人が法に守られることに対し、とても違和感を覚えます。
光市の母子殺人のニュースや判決を見て、被害者の立場の弱さというものに
何故?という疑問を感じたことも事実です。
ただ、根本的なことを言えば「人が人を裁くことができるのか?」ということが、全てにつきまとうので
一概に「こうだ!」とは言えないのが難しいところ。
この作品では、様々な立場の人物が、父親に対して同情を感じながらも、
やはり「復讐」を遂げさせることが良いこと、という結論には至っていない葛藤が描かれており、
非常に考えさせられました。
また、強く感じたのは、「被害者にも、加害者にもならないような子育てとは何か?」でした。
この作品に出てきた少年の中に「引きずられてしまった」子というのがいました。
彼自身は鬼畜な行為自体には関わっていませんが、車を貸したり、誘拐現場に居合わせたりしています。
脅されて怖いから…。そういう理由で、「加害者側」になってしまう子もいるし、
手伝いだったとはいえ、彼のやったことは明らかに犯罪。
恐ろしくなりました…。
「うちの子に限って」という言葉、使いたくないですね…。
でもどう子育てしたら、人ときちんと信頼関係を築ける子になれるか。
これからの私の課題になると思います。そういう意味で、この本は非常に重かったです。
まさに、作者の言葉通り「他人事ではない」話でした。
ひとつ、思ったのは、自分が「痛い」経験をした子は、人を思いやれるようになる、ということ。
自分自身の過去を振り返っても、傷ついたり傷つけてしまったり、を繰り返して
少しずつ、人との距離やいい関係を作れるようになってきたように思います。
ただ、その時に人のせい(世間のせい、親のせい)にしてしまう子は、成長はない。
この作品の犯人達のように。
そこなんだろうな、と思いました。どう教えていけるか、自信はないけど…。

しかし、少年法というのは誰のための法律なのでしょう?
確かに、「若者は間違う、更生の機会を与えるべき」というのも良く分かります。
でも、今は明らかに、更生も何も、確信犯じゃないの!自分のしたことを悔いてもいない、
と思うような事件もたくさんあって…。
被害に遭った側が辛抱することになる、というのも不条理だと思います。
「許す」ことは大事だと思います。そのことによって、更生できる加害者もいるでしょう。
しかし、それは犯罪を犯した年齢で決まることではないように、最近では思えてなりません…。

それにしても、胎教に悪そうな本でした(苦笑)
P.S.バトンを回してくださったRさま、近々UPさせていただきますね☆

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