「ほんまもんでいきなはれ」

あるTV番組で紹介されていたのがきっかけで、村瀬明道さんのことを知りました。
明道さんは80歳を超えられている、月心寺の庵主さまですが、
9歳で仏門に入られてから、その人生は決して平坦なものではありませんでした。
そのご経験からだと思うのですが、仰る言葉がとても深いのです。
TVに出演されていた時、一番印象に残ったのは、悩みを打ち明ける女性に向かって
「そんなに綺麗に産んでもらって、五体満足で、何が不幸なの?」と
穏やかに、しかしきっぱりとした口調で仰っている姿でした。
この方のことをもっと知りたい!
そう思ってインターネットで検索したら、この本が見つかりました。

ほんまもんでいきなはれ
明道さんの一代記と言える内容です。法曹界のこともかなり赤裸々に綴られており、
自伝としてだけではなく、読み応えのある一冊でした。
9歳で仏門に入るまで、その後の師匠との確執、太平洋戦争を乗り越え、
33歳で知った恋心、39歳で大事故に遭われて右半身不随になってからのリハビリの日々、
そして精進料理を振舞う庵主さんとしての生活。様々なことが起こる中、
常に目の前の出来事に真剣に向き合ってきた、明道さんの生き様に圧倒され、感動します。
これだけまっすぐに生きてきたからこそ、語れる重みのある言葉たち。
明道さんは何でもストレートに書いてらっしゃいます。
ご本人も「はみだし者」と仰っていますが、本当に破天荒な尼さんです。
でも、実に読んでいて胸がすっとする本です。大変なことが多い人生だったはずなのに、
何故か明道さんが話されると、爽快な感じがするのです。
明道さんは今でも、夜中から左手と左足を使って、胡麻豆腐の仕込みで
胡麻をすっていらっしゃるそうです。宣伝もしていないのに、自分の話を聴きたい、
と言ってくれる人に対して、おもてなしの心を表すために手料理を作られるとのこと。
この方は、平成の世に生きている「ホンモノの尼さん」だと思いました。
ぜひ、関心を持たれた方はご一読下さい。おそらく、図書館にも入っていると思われます。
なぜなら、明道さんは以前、NHKで放送された「ほんまもん」の庵主さんの
モデルになられているからです。

「容疑者χの献身」

遂にやりました!
私がずっと注目していた作家・東野圭吾氏が、直木賞受賞。
むしろ遅すぎたくらい。
「白夜行」も素晴らしい作品です。

受賞作「容疑者χの献身」は、犯人側と探偵側の頭脳戦が圧巻です。
いろいろ書くとネタバレになってしまうのがもどかしいのですが、
犯人側はある意味、自分の罪を逃れるためというより
まさに「献身」のために頭を使っているのであり、
探偵側は、容疑者χとは旧知の仲であるだけに
とても辛い気持ちで彼の作った法則を証明する――
ああ。解りにくいですが、物理や数学が苦手な私でも、引き込まれて読めましたし
長さは全く感じませんでした。さくさく読めるのに濃密。すごいです。

最後の慟哭は、聞こえていないのに耳に残るようで…。
切ないです。
ぜひご一読を。

「容疑者xの献身」(amazon)

佐藤史生「夢みる惑星」

元旦は比較的自宅でのんびり過ごしていたので、この機会に読み返そう、と思った本がありました。
佐藤史生「夢みる惑星」です。
マンガじゃん!と思うなかれ、です。この本、ものすごく奥が深いのです。

ストーリーはこの地球の遙か古代という設定。神話で星の海を渡り、この地にたどり着いた、
と伝えられる人類が生きていました。
主人公はある国の王子なのですが、禁断の愛によって生まれた子で
その存在は、母親が死んだことにより、国王の知るところとなります。
彼―イリス王子は神殿に引き取られ、成長して200年ぶりの大神官となります。
そして彼は、この繁栄した美しい都・アスカンタにしのび寄る、過酷な運命に
立ち向かっていくこととなる…。というストーリーです。
こう書いてしまうとどこにでもある話のようですが、まずイリスが大神官になるまでが
一筋縄ではないし、なってからアスカンタの運命を知って取る行動や、
神殿の復活を目的に、ある意味手段を選ばないようなことまでしたのに、
物語が進んで、イリス自身がこの国の真実の歴史を紐解いたことで
出した結論にまた驚きます。何度読んでも、よく練られた壮大な歴史絵巻だなあと思います。
主人公のイリスだけでなく、父親であるモデスコ王や兄弟であるタジオン王、
大衆に魅惑の舞を見せる踊り子シリン、ベニ・アスラの若き長カラ、
脇を固めるキャラクターも実に生き生きとして魅力的です。
また、翼竜や芸術的な暗殺者・モロー族など、物語のエッセンスになるエピソードも秀逸で
引き込んで読ませる力がハンパではないのです。
科学者と神職の位置づけも面白く、なるほど!と膝を打ちます。
しかし、この作品のすごさは何と言っても、登場人物の「台詞」から、非常に哲学的なものが
浮かび上がってくる、ということでしょう。
一度さらりと読んだだけでは、「面白いストーリーだった」という感想かもしれませんが、
何度も読み返すと「ああ!」と数々の発見があります。
もちろん初読の時から、ガツンと来る台詞はありますけどね。
ぜひご一読を!

佐藤史生さんの著作には、他に「ワン・ゼロ」という秀作がありますが、
これを80年代に描いていた佐藤さん。2000年を過ぎた今、その想像力に脱帽。
こちらもオススメです。最近の佐藤さんの話はちょっと難解なものが増えてきましたが、
この2作品は面白くて深いので、たくさんの人にぜひ読んでもらいたい作品です。

うお(魚)でいこう

イラストレーターの田村みえさんが好きです。
田村さんの作品に初めて出会ったのは、「TERU TERU」というキャラクターでした。
学研トイホビーから発売されている、TERU TERU TENSHIの商品を偶然見つけ、
一目惚れしました。
キャラクターの可愛らしさも当然ながら、一緒に書いてあるメッセージが、
心をやわらかくしてくれるのです。

「な~んにもかんがえないで ひとやすみ」
「まわりみちも・・・ちかみちもないんだよ」
(以上、グッズから引用)

TERU TERUに言われると素直に「そうかもね~」と思えるから不思議です。
今回紹介するのは、その田村みえさんが書かれた「うお(魚)でいこう」という絵本です。
主人公の「うお」が、日々悩みながら、前進しようとしている姿が描かれています。
時々、「ああ~こんな自分が嫌だなあ」とへこんでしまう時には、
「うお」が自分みたいに思えます。

「ココロの疲れも 洗って落ちたらいいのにね」
「プラスな気持ち マイナスな気持ち どっちも本当の私なの」
「やればできるより やりたいと思うことの方が 大事だと思うんだ」
(以上、「うお(魚)でいこう」本文より引用)

「あなたのうおを探してみて下さい」と帯に書かれているのですが、
ちょっと疲れた時、自分が嫌になった時、力をくれる本です。
1人でも多くの人に読んで欲しい本です。親子で読むのもいいと思います。

うお感想(田村みえさん公式HP掲載)
田村みえさん公式HP
Amazon「うお(魚)でいこう」

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