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佐藤史生「夢みる惑星」

元旦は比較的自宅でのんびり過ごしていたので、この機会に読み返そう、と思った本がありました。
佐藤史生「夢みる惑星」です。
マンガじゃん!と思うなかれ、です。この本、ものすごく奥が深いのです。

ストーリーはこの地球の遙か古代という設定。神話で星の海を渡り、この地にたどり着いた、
と伝えられる人類が生きていました。
主人公はある国の王子なのですが、禁断の愛によって生まれた子で
その存在は、母親が死んだことにより、国王の知るところとなります。
彼―イリス王子は神殿に引き取られ、成長して200年ぶりの大神官となります。
そして彼は、この繁栄した美しい都・アスカンタにしのび寄る、過酷な運命に
立ち向かっていくこととなる…。というストーリーです。
こう書いてしまうとどこにでもある話のようですが、まずイリスが大神官になるまでが
一筋縄ではないし、なってからアスカンタの運命を知って取る行動や、
神殿の復活を目的に、ある意味手段を選ばないようなことまでしたのに、
物語が進んで、イリス自身がこの国の真実の歴史を紐解いたことで
出した結論にまた驚きます。何度読んでも、よく練られた壮大な歴史絵巻だなあと思います。
主人公のイリスだけでなく、父親であるモデスコ王や兄弟であるタジオン王、
大衆に魅惑の舞を見せる踊り子シリン、ベニ・アスラの若き長カラ、
脇を固めるキャラクターも実に生き生きとして魅力的です。
また、翼竜や芸術的な暗殺者・モロー族など、物語のエッセンスになるエピソードも秀逸で
引き込んで読ませる力がハンパではないのです。
科学者と神職の位置づけも面白く、なるほど!と膝を打ちます。
しかし、この作品のすごさは何と言っても、登場人物の「台詞」から、非常に哲学的なものが
浮かび上がってくる、ということでしょう。
一度さらりと読んだだけでは、「面白いストーリーだった」という感想かもしれませんが、
何度も読み返すと「ああ!」と数々の発見があります。
もちろん初読の時から、ガツンと来る台詞はありますけどね。
ぜひご一読を!

佐藤史生さんの著作には、他に「ワン・ゼロ」という秀作がありますが、
これを80年代に描いていた佐藤さん。2000年を過ぎた今、その想像力に脱帽。
こちらもオススメです。最近の佐藤さんの話はちょっと難解なものが増えてきましたが、
この2作品は面白くて深いので、たくさんの人にぜひ読んでもらいたい作品です。

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